主な研究報告 | 先週の金曜日（2024年2月7日）、米国大統領ドナルド・トランプの政策方針や雇用統計の結果を受けて、市場はFRBがすぐには利下げを実施しないとの見方が強まり、米株市場はその影響を受けて下落しました。
インフレ懸念とトランプ政策が市場を揺さぶる
2024年2月7日、トランプ氏は来週にも対等関税措置を導入する計画を発表しました。同日、日本製鉄は以前より計画していたUSスチールの買収計画を断念し、大規模な投資へ方向転換すると明らかにしました。同日、USスチールの株価は6%近く下落しました。
米国の関税政策がインフレを加速させるとの懸念から、ウォール街の投資家たちは経済指標の改善を期待していましたが、消費者信頼感指数を含む最新のデータは逆に物価上昇の懸念を強め、FRBは利下げを急がないだろうという市場の見方はさらに強まりました。
主な研究報告 | 雇用統計がFRBの利下げ期待を後退
1月の雇用統計では、労働市場の成長ペースは減速したものの依然として堅調な推移を見せており、失業率は予想外に低下しました。ウォール街の投資家たちは依然としてFRBが利下げに踏み切ると予測しているものの、早くても9月になるだろうとの見方が強まっています。
具体的なデータによると米国の1月の雇用者数は14.3万人増となり、市場予想を下回りましたが、過去2か月のデータは合計で10万人上方修正されました。米国政府の年間基準改定によると、2024年の月間平均雇用増加数は16.6万人であり、初期報告の18.6万人より低下しました。1月の失業率は4.0%でしたが、新たな人口推計データを使用したため、過去の失業率と直接比較することはできません。また、1月の平均時給は前月比0.5%の増加となりました。
市場動向 : 米国主要株価指数は下落、ハイテク株に売り圧力
先週末の米国株市場では、S&P500は0.9%、ナスダックは1.3%、ダウ平均は1%、ラッセル2000は1.2%下落しました。また、ブルームバーグ・ドル指数は0.2%上昇し、10年債利回りは5ベーシスポイント上昇して4.49%となりました。
大型ハイテク株も全体的に下落し、Amazonは2025年第1四半期の業績見通しが市場予想を下回ったため、決算発表後に株価が4%下落しました。また、ゲームプラットフォームのRobloxの株価は1%以上下落し、週間ベースで見ると6%以上下落しました。ブルームバーグの報道によると、現在Robloxは米国証券取引委員会（SEC）の調査を受けているとのことです。
2月7日（金）の終値 :
- ダウ平均 : 44,303.40ポイント（-444.23ポイント、-0.99%）
- S&P 500指数 : 6,025.99ポイント（-57.58ポイント、-0.95%）
- ナスダック指数 : 19,523.40ポイント（-268.59ポイント、-1.36%
- 米国10年債利回り : 4.495%以上
- VIX指数 : 16.54ポイント（+1.04ポイント、+6.71%）
主な研究報告 | 市場はFRBの利下げに慎重な姿勢を維持
- FRB関係者の見解 :
FRB理事アドリアナ・クグラー氏は、雇用市場の堅調さやインフレ速度の鈍化、さらに貿易政策の不確実性を考慮すると、現在の金利水準は適切であると述べました。
また、ミネアポリス連銀総裁ニール・カシュカリ氏は、インフレは徐々に2%の目標水準に向かう可能性があり、年末までに小幅な利下げの余地があると述べました。
- 市場関係者の見解 :
ゴールドマン サックス証券株式会社のポートフォリオ マネージャーであるリンゼイ・ロスナー氏は、FRBが慎重かつ安定した態度で最新データを精査し、落ち着いた姿勢で対応するだろうと予想しています。
アリアンツ投資管理の上級投資ストラテジストであるチャーリー・リプリー氏は、FRBが現在の政策を維持する可能性が高く、利下げを見送るのが適切であるとの見方を示しました。
グレンミードの投資戦略・リサーチ部門責任者であるジェイソン・プライド氏は、FRBが様子見の姿勢を取る可能性が高いとしています。3月19日のFOMC会合前に、FRBはさらに多くのインフレデータと雇用データを分析する必要があり、当面の間は利下げを急がないだろうと予想しました。
市場の注目 : 米国CPIと小売売上高のデータ発表間近
今週の市場は、FRBがインフレ動向を評価する上で重要な指標となる、1月の消費者物価指数（CPI）に注目しています。
BNPパリバの投資戦略家であるグニート・ディングラ氏は、1月のコアCPIは通常市場予想を上回る傾向があるが、もし予想を下回れば、市場にとって良いニュースとなる可能性があることを示唆しました。
また、ブルームバーグ・エコノミクスは、小売売上高の伸びが鈍化する可能性があると予測しています。
今後の展望 : 市場の変動性は継続する可能性
現在の市場は不安定であり、短期的な上昇と下落を繰り返す傾向が続いています。インフレ動向とFRBの利下げ方針がより明確になるまでは、市場の不確実性とボラティリティはこれからも続くと予想されます。
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