主な研究報告 | 米国市場は2023年3月以来最悪の1週間となり、低調な非農業部門雇用者数が景気減速やFRBの金融政策への懸念を強め、債券市場も大きく変動しました。
8月の雇用者数が予想を2万3000人下回ったことから S&P500は1.7%下落、ナスダックは2.7%下落しました。米2年債利回りは一時低下し、再び上昇しました。
クリストファー・ウォラーFRB理事がさらなる利下げに意欲を示したものの、ウォール街ではFRBが0.5%の利下げを行うとの期待は薄れつつあります。
労働市場のデータが懸念を引き起こす
8月の非農業部門雇用者数は14万2,000人増加し、3ヶ月平均では2020年半ば以来最低となり、 失業率は4.2%に低下し、5ヶ月ぶりの低下となりました。
TSロンバードのスティーブン・ブリッツ氏をはじめとするアナリストたちは、経済が重要な転換点に近づいている可能性があり、FRBの対応が市場の動向に極めて重要な影響を与えるだろうと警告しています。
主な研究報告 | 市場の動き
S&P500はほとんどのセクターが下落し、特にハイテク株が大きく下落しました。Nvidia(エヌビディア)は4%の下落、Broadcom(ブロードコム)は業績予測が振るわず10%下落しました。ダウ平均は1%の下落、ラッセル2000は1.9%の下落、先行き警戒感を示すVIX指数は22に達し、原油価格も下落しています。
一部のトレーダーは、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月に0.25%の利下げを行うと予測していますが、さらに大きな利下げが行われる可能性も指摘されています。
先週、S&P500は4.3%急落し、ナスダックは5.8%下落、ダウ平均も2.9%下落しました。
以下、2024年9月6日(金)の終値です:
- ダウ平均: 40,345.41 ポイント(-410.34ポイント、1.01%下落)
- S&P500:5,408.42ポイント(-94.99ポイント、1.73%下落)
- ナスダック:16,690.83ポイント( -436.83ポイント、2.55%下落)
- 米国 10年債利回り: 3.713%
- 米国 2年債利回り:3.654%
- VIX指数: 22.38ポイント(+2.48ポイント、12.46%上昇)
市場心理の変化
9月6日(金)の雇用統計に対する反応から、市場の心理が大きく変わったことがわかります。これまでのデータは、市場を強気にし、株価を押し上げることが多かったのですが、今は投資家がリスクを避ける傾向にあり、反発があってもすぐ売りが出る状況です。現状、売りが市場を支配しており、経済回復の兆しさえも、売りのきっかけになることがあります。
市場では、次のFRB会合で0.25%の利下げが行われる確率は70%と予測されています。経済が急激な悪化を見せていないため、今のところ急いで大幅な利下げを行う必要がないと考えられています。
注目すべき点として、2年債と10年債利回りの差が再びプラスに転じており、これは歴史的に見て景気後退の前兆とされています。この状況により、市場ではさらに売りが進む可能性があり、強気の投資家たちも不安を感じ始め、不安感が広がる恐れがあります。
主な研究報告 | 市場動向
テクニカル分析による悪材料や9月6日(金)の終値を考慮すると、9月9日(月)はさらに売り圧力が高まることが予想されます。価格がサポートラインで反転しない場合、さらに下落する可能性があります。また、今週発表されるインフレ指標が、不安定な市場にさらなる変動を引き起こすかもしれません。
現在の市場取引環境は複雑で、主に以下の要因が影響を与えています:
- 日本円(JPY)は1ヶ月前の暴落前の水準に近づいている。
- ハイテク株からの資金移動が続いている。
- 債券利回りが低下している。
- 原油価格は70USDを下回っている。
- 恐怖指数と呼ばれるVIXは、懸念される水準まで上昇し始めている。
これらの要因は、多くの人が予想している通り9月が厳しい月になる可能性があることを示しています。しかし、その中で相場の反発が起こってもおかしくはありません。相場が反発し、価格がレジスタンスラインを突破した場合、再び強気相場に戻ることも考えられます。良い結果を予測しつつ、最悪の場合を想定して準備しておきましょう。
ジェームズ・ゴメス氏について
この解説は、30年以上の金融業界での経験を持つジェームス・ゴメス氏によって執筆されました。彼はアメリカの大手銀行で20年以上勤務していました。
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